479: ◆8zklXZsAwY[saga]
2016/08/10(水) 22:55:22.58 ID:xQt0KHc3O
駐車場の向こうでは黒い幽霊が、シャチが捕らえた獲物に対してそうするように、“かれら”を宙に放り投げてもて遊んでいる。
胡桃「見つかるとヤバいよな」
480: ◆8zklXZsAwY[saga]
2016/08/10(水) 22:56:32.72 ID:xQt0KHc3O
ぶすっ、という音がして、地面に伏せられていた隊員のこめかみが膨れあがる。一瞬、時間が間延びして、そのあいだに隊員のこめかみを見た永井は、幼い頃、父親に連れられたキャンプで焚き火を囲い、いっしょにマシュマロを熱していたときの光景を思い出していた。その刹那が過ぎると、膨らんだマシュマロのような隊員のこめかみが、今度は熟し過ぎたトマトのように破裂し、あたりに中身をぶちまけた。隊員の頭部のすぐ側にあった永井のスニーカーに、こぼれた血と脳漿がかかる。
美紀「先輩! はやくこっちに!」
481: ◆8zklXZsAwY[saga]
2016/08/10(水) 22:57:47.34 ID:xQt0KHc3O
永井「はやく出せ!」
美紀「どうやって運転するんですか!?」
482: ◆8zklXZsAwY[saga]
2016/08/10(水) 23:03:23.29 ID:xQt0KHc3O
>>481 訂正
永井「はやく出せ!」
美紀「どうやって運転するんですか!?」
483: ◆8zklXZsAwY[saga]
2016/08/10(水) 23:04:11.91 ID:xQt0KHc3O
左足を怪我した男が、急発進するミニクーパーにふたたび銃弾を浴びせかける。タイヤを狙った狙撃は、逸れてアスファルトを削るか、タイヤ周りのボディ部分にあたるかで、ミニクーパーの走行を止めるには至らなかった。
ミニクーパーが、切開部分のように開いたフェンスの切れ目を通過する。その際、右側のフロントバンパーがフェンスにぶつかり、コンクリートに打ち込まれたフェンスの基礎を破壊していった。その衝撃で美紀はふたたびアクセルから足を離したが、慣性で進む自動車は校舎に向かって直進を続けた。永井は、ミニクーパーが校舎に激突する寸前にハンドルを右に切った。フロントバンパーが擦れ、窓下に植えられた緑化樹木を巻き込みながら、自動車の運動はつづく。
484: ◆8zklXZsAwY[saga]
2016/08/10(水) 23:05:05.56 ID:xQt0KHc3O
ーー地下一階
由紀は、校舎の一階部分と緊急避難区域を分断するシャッター前に一人で立っていた。悠里とともに地下に避難した由紀は、しばらくのあいだ就寝していたらしく、気づいたときには物資保管庫のあいだに横たわっていた。
485: ◆8zklXZsAwY[saga]
2016/08/10(水) 23:05:55.53 ID:xQt0KHc3O
由紀「なに?」
悠里「ごめんなさい……さっきの」
486: ◆8zklXZsAwY[saga]
2016/08/10(水) 23:06:45.16 ID:xQt0KHc3O
二回目の沈黙を破ったのは、今度は由紀だった。
由紀「そろそろ、いこっか?」
487: ◆8zklXZsAwY[saga]
2016/08/10(水) 23:07:50.58 ID:xQt0KHc3O
戸惑う由紀に、悠里は自分の心情を吐露し始めた。
悠里「外に行くのがこわくて仕方ないの。助けに行かなきゃいけないのに、身体が動かないの」
488: ◆8zklXZsAwY[saga]
2016/08/10(水) 23:08:38.21 ID:xQt0KHc3O
由紀「うん。くるみちゃんとみーくん見てくる」
由紀「大丈夫だよ」
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