534: ◆8zklXZsAwY[saga]
2016/09/01(木) 23:24:42.10 ID:0CmWCKBVO
−−キャンピングカー入手後
朝まだき時間の川のほとり。うすぐらい風景に、にわかに虫や鳥たちがざわめき始める。川岸の草が生えてない石が集まっている場所にキャンピングカーが停められていて、その周囲をポールが囲っている。ポールは紐でつながれていて、結び目ごとに防犯ブザーが括り付けられている。もし夜遅い時間にキャンピングカーに近づく者があっても、ポールの紐に身体を引っ掛ければ防犯ブザーが起動し、就寝している学園生活部に警報を鳴らす仕組みだ。
キャンピングカーから少しはなれた場所に、テントが張ってあった。茶葉を思わせる深い緑色の生地が外気に無防備に触れ、周囲に対してまるで無警戒な四角錐型のテントから、Tシャツとハーフパンツ姿の永井が出てきた。永井は瞼をこすりながらスニーカーを履いた。ポールを乗り越えキャンピングカーに近づくと、ドアをノックし、中で誰かが動く気配すると「見回りに行ってくる」と言い残し、キャンピングカーから離れ見回りにでかけた(朝の見回りは胡桃との交代制だった)。
川辺の薄靄が晴れ、朝陽の光線が群生する草の緑を光らせ、地面に青暗い影を作った頃、永井が見回りから戻ってきた。すでに学園生活部の四人は目を覚まし、制服に着替えている。
悠里「おはよう、永井君」
永井「おはよう」
美紀「このあたりの様子はどうでした?」
永井「これまでと特に変わりはなかったね。今日通行予定の道路の状態も、別段問題なかったし」
胡桃と由紀は川に洗濯に行っていた。その川はゆるやかで水深はそれほど深いものではなかったので、スティーヴン・スピルバーグ『宇宙戦争』に登場する川のように死体が群れを成して流れてくる凶々しい光景が広がることはなかったが、誰かの衣服の切れ端が赤い染みを残したまま下流へ消えていくことがたまにあった。
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