15:人外好き ◆HQmKQahCZs[saga]
2016/03/19(土) 23:24:46.40 ID:FU69ie4a0
「今―――いや、なんでもない」
バグか? 伝達系に遅延が発生しただけかもしれない。もしくは僕の命令の発音が悪かったか。
アンドロイドがテレビに集中する。そんなことはありえない。
そう見えるなにかが発生したというだけだ。現実的に物事を考えろ。
夢想するのは原稿用紙の前だけでいい。
変更されたチャンネルからはバラエティーが流れ、観客の笑い声が僕を落ち着かせてくれる。
もしまた命令が遅れるようなことがあればメーカーに持っていこう。修理するまではスーパーの弁当生活になりそうだけれど。
バラエティーを眺めながらご飯とおかずをかき込む。濃い味付けが白米にあっていた。
脂っこくなった口内を冷奴がすっきりさえてくれる。冷奴の味付けはしょうが、ネギ、ポン酢。実にシンプルかつ美味。
「ごちそうさま」
手を合わせ箸をおくと、アンドロイドが食器をさげた。空腹も満たされたことだし、今日は適当にテレビを見て寝よう。
「お風呂は?」
「何時に入られますか」
「1時間後で」
「了解いたしました」
ソファーに寝転がり、掌で顔を支えテレビを見る。アンドロイドが増えてから娯楽というものは前よりも重視された。
奴隷がいたから発展した芸術的文化、そういえばそういうものが歴史にはあったな。
奴隷。今となっては人種差別すらないが、アンドロイドはそう呼べる扱いを受けている。
「あー。今日あんな話を聞いたからこんなこと考えるのかな」
アンドロイドとの結婚。その結婚はアンドロイドの意志にそむいたものでやっぱり扱いは、いやアンドロイドに意思はないんだ。
アンドロイドと結婚した彼ははたして幸せなのだろうか。そこに存在するのは愛なのか、それとも利己的な欲望なのか。
「マスター」
「ふぁあい!?」
アンドロイドから声をかけられ飛び起きる。ソファーの後ろではアンドロイドが驚いた僕の顔を見ていた。
「お風呂は50分後に良い湯加減となります」
「あ、あぁ、うん」
あんな事を考えていたせいでアンドロイドの顔がまっすぐ見れない。いくら女性型だからって思春期の子供じゃないんだし。
そもそも僕はアンドロイドに恋をする変態オタクじゃない!
「………」
「どうした」
アンドロイドが動かない。まだじっと僕の顔を見ている。
「なにか」
何か起きたのか。そう聞こうとしたときにアンドロイドは踵を返してキッチンへと戻っていった。
なんなんだいったい。
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