過去ログ - 禁断の果実はなんの味?
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20:人外好き ◆HQmKQahCZs[saga]
2016/03/20(日) 00:43:34.67 ID:dVwQUgbl0
いつもの喫茶店。運よく暇だった恭平を呼んで僕は相談に乗ってもらっていた。

「で、それで俺を頼ったのだな」

事情を説明すると恭平は少し頭を横に曲げ、眉をひそめた。

「うん。調子悪いから直せない?」

「しかし話を聞いてる限りは分からないな。一応ロボット三原則には基づいているからな」

「どういうこと?」

「ロボット三原則は分かるな?」

「人間に危害を与えず危険を見逃さない、人間の命令は絶対、自分を守れ。だっけ」

小説は見たけれどよく覚えていない。ストーリー自体は覚えているのだけど。

「まぁ、そんなところだ。第二条は正確にはロボットは人間にあたえられた命令に服従しなければならない。ただし、あたえられた命令が、第一条に反する場合は、この限りでない、でな。今日の朝のことならば、これで説明はできる。つまりだ。朝の命令が第一条に反したから朝食のメニューが変わった」

「僕の朝ごはんが危険ってこと?」

卵三つでは危険で。卵を減らしサラダを加えることによって危険じゃなくなる。そんなことがありえるのだろうか。

「その通りだ。元のメニューでは健康に危害が加わる可能性があった。だからメニューを変えた」

「納得いかないよ」

「説明できてしまうのだが、それでも不可解だ。アンドロイドはある程度の判断はするが朝食を変更するほどの細かい配慮ができるかは………特別に作られたものでもないし」

「壊れたのかな」

「うーむ。コーヒーをマスターに命令なしで持ってくるのはアンドロイドらしくない。しかし壊れたというほどでは。倫理回路が欠損した? いやそんなまさか。人間に危害を与えてはいない。職務にもある程度忠実。なら神経回路が、いやそれにしては行動に合理性がありすぎる、ならば」

「恭平?」

「おっと、すまない。ちょっと考え込んでしまった。壊れたわけではないとは思うのだが、よく分からん。そうだサポートに任せる前にぜひこの俺に」

「変な改造しないよね」

「何が変かは個人個人違うため、保証はできないが」

「じゃあやめる」

「嘘だ。改造はしない。中のデータをみるだけだ。ログを確認すれば判断理由が分かるかもしれないし、思考データを覗けば異常が分かるだろう」

「じゃあお願いしてもいいかな」

「俺の家は分かるか?」

「うん、分かるよ。一回いったことあるし」

喫茶店以外の場所で恭平と会うことは最近珍しいけど、さすがに家の場所くらいは覚えている。結構大きい家だったはずだ。アンドロイドが何体もいる。

「あれ、そういえば今日はあの小さい人形みたいなアンドロイド、えっとリリカだっけ。はどうしたの?」

「今は中の思考回路のアップデート中だ。さらに人間に近い受け答えが出来るようになる」

「それって基本法に」

「今のロボット基本法では俺は裁けんよ。それにこれは介護ロボットや育児ロボットのためのプログラムだ。決して人間をさらにアンドロイドに依存させるためのものではない。それに人間と区別がつかないようにしてはいけないの部分ならばアンドロイドの目の下に判断しやすいよう溝でも彫ればいいだけの話だ」

「それはそうだけど」

「それでは俺は先に行って準備しておくので、さらばだ」

「恭平!」

「なんだ、稔よ」

「お金、今日は置いていってよね」

「………うぬぬ」


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