3:人外好き ◆HQmKQahCZs[saga]
2016/03/19(土) 12:25:21.54 ID:FU69ie4a0
よく行く喫茶店。僕がコーヒーを一口すすると、そいつは店内に響く大声で怒鳴った。
「だーかーらー。お前は頑固親父かよ!?」
「うるさいなぁ。だって苦手なものは苦手なんだから仕方がないだろ?」
「お前は嫌いって言い訳して、本当はハイテクなものが使いこなせない自分が嫌いなだけだろ?」
「うぐっ」
図星をつかれる。僕は言い返す言葉を捜し求め、コーヒーをもう一口、口に含んだ。しかし教えてくれたのは味覚の情報だけ。
僕はそいつから目を背け、天井で回転する羽を見つめた。
「ほら、こないだようやく買ったアンドロイドだって便利だろう? こうやっていろんな便利を覚えて人間は進歩していくんだよ。だろぉ?」
「ぼ、僕がアンドロイドが嫌いな理由はもう一つあるよ」
「なんだ? 言ってみろ」
「アンドロイドは………小説を読まない」
「は?なんだそれ」
「僕にとってはとっても重要なことなんだよ! 人の形をしているのに、小説を読まない、音楽を聴かない、絵画を眺め心を震わせることもないんだぞ!?」
「はぁ。小説家様が考えることは凄いねぇ。良いか? いくら人間の形をしてようがアンドロイドに感情はない。だから小説も読まない、音楽も聴かない、絵だって見ない。OK?」
「でも―――」
人間の形をしているんだ。
「人間がアンドロイドに必要以上に感情移入をしないことだ。家族でもペットでもねぇ。ただの家電なんだよ」
「それは違うな。敦彦よ」
「あん? いたのか恭平」
僕達が座っている席にいきなり割り込んでくる一人の男。恭平は掌の上で僕を見つめるそれを机の上に優しくおいた。
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