過去ログ - 禁断の果実はなんの味?
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4:人外好き ◆HQmKQahCZs[saga]
2016/03/19(土) 12:40:36.52 ID:FU69ie4a0
「アンドロイドにも心はある!」

「ねぇよ」

「なにぉう!?」

喧嘩する二人を背景として捉えながら僕は机の上に立つそれと見つめ合っていた。

30センチほどの人形。人間よりもデフォルメされたその人形はじーっと僕を見つめる。

この人形の服。結構しっかりしているけれど、どこで買ったのだろうか。メイド服のようなドレスが三次元から離れた容姿をしているこの子にはとても似合っている。

「こんにちは。三浦様」

「ど、どうも」

人形がぺこりと会釈をする。僕もつられて頭を下げてしまう。頭を下げながら視線を動かして人形を見ると、人形は少し微笑んでいた。

そのあまりにも人間的なしぐさに僕は思わずドキリとしてしまった。

「またプログラムをいじったのか」

「いじったのではない。これがアンドロイドの持つ本来の感情! と、いいたいところだが、今は感情を模倣してるだけに過ぎないのだ」

「やりすぎると逮捕ー。かもな。とにかくロボット三原則は絶対に解除するんじゃないぞ。今でもロボット基本法すれすれだっていうのによ」

「くぅっ。それがある限りやはりアンドロイドは人間になれないのか」

「マスター」

僕を見つめていた人形が敦彦に話かける。

「なんだ。リリカ」

「喫茶店では先に注文をしていたほうが良いとおもいますけれど」

「うぐっ」

「マスターよりよっぽど出来たアンドロイドだな」

「ありがとうございます。本田様」

恭平はしばしメニューとにらめっこをしていたが、決まったらしくメニューをパタリと倒して右手で軽くテーブルを叩いた。

「それじゃあオリジナルブレンドを貰おうか」

「店員に言えよ」

恭平の動きはかなり気取ったところがある。今のしぐさだって古い映画の中では見ることはあるけれども実際現実ではしている人など皆無だ。

恭平は不服そうな顔をして、手を上げて店員を呼んだ。

「ブレンドだけって、また金がないのか」

「パーツは高いのだ」

「マスターは私に色々なものを買ってくれるけれど、もう少し自分のためにお金を使ってください」

その心配する言葉も人間らしい。こんな奴が感情を模したプログラムを研究する研究者だとは誰が想像できるだろう。

もっともその研究はよく批判されるけれど。


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