過去ログ - ヴェロニカは一撃で死ぬことにした
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41: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2016/03/22(火) 00:16:30.93 ID:QplngCWO0
けれど、彼女の目的はクマじゃあない。
気持ちを切り替えて、ヴェロニカは木の根元あたりをがさごそ探し始めた。
暗くってよく見えなくって、彼女はふうふうと息を荒げちゃったけど、小一時間もしたら彼女は、お目当てのものを手に入れていた。
カゴいっぱいのキノコの山さ。
42: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2016/03/22(火) 00:18:38.45 ID:QplngCWO0
死にたがりのヴェロニカは、死のうと行動している時が、もっともキラキラ輝いていて、いきいきとしている訳なんだけど。
その事実に気付いている人は、たぶん誰もいないだろうね。
少なくとも、彼女は全く気付いていない。
気付いていないからこそ、彼女はいっそうキラキラとした輝く笑顔で、いきいきと死のうとしている訳さ。
43: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2016/03/22(火) 00:20:52.26 ID:QplngCWO0
家に帰ったヴェロニカは、フグの調理にとりかかった。
調理といっても簡単なもんさ。内臓を取り出すだけなんだから。
しかしヴェロニカは料理が下手でね。うんうん唸って一生懸命、フグから内臓を引きずり出した。
失敗して内臓が潰れちゃったり、肉がいっぱいついたりして。
44: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2016/03/22(火) 00:22:35.09 ID:QplngCWO0
そこにキノコをどぼどぼと入れる。
毒々しい色をしたのも、びっくりするくらい真っ白なのも、紫色のケムリを出してるのも、真っ赤な色して、触っただけで手が激しく痛むやつも。
全部まとめて突っ込んで、めん棒でぐりぐりと押し込んでしまう。
容器の中から、生臭い臭いと、青臭い臭いと、つんとする刺激臭が漂ったけど、ヴェロニカはにこにこ満面の笑みさ。
45: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2016/03/22(火) 00:24:32.21 ID:QplngCWO0
そこにさらに睡眠薬の瓶を、 1ダースほどザラザラと入れて、飲みやすいようにと角砂糖を、陶器のカップからゴロゴロと入れる。
ここまでぶち込んだ所で、水分が無いから飲みにくい事にヴェロニカは気付き、台所にあった漂白剤を、一本まるまる流し込んだ。
もうすでにキッチンには有毒のガスが流れ出ていて、ヴェロニカの目や皮膚がひっきりなしに治り、シュウシュウと白いケムリをあげていたよ。
そのケムリを見てヴェロニカは確信したね。今回こそ、一撃で死ねるって。
46: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2016/03/22(火) 00:26:25.19 ID:QplngCWO0
ミキサーのスイッチを入れると、刃が恐ろしい音をたてて回転し、魚の内臓と、骨と、肉と、毒キノコと、睡眠薬と、角砂糖と、漂白剤と、ヴェロニカの殺意と、愛情と、憎悪と、幸せとを引っ掻き回した。
そのうちにそれらは混ざり合い、地獄のような色になり、空のような色になり、戦争のような色になり、世界のような色になった。
そして最後にスイッチを止めると、それは虹色になっていた。
47: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2016/03/22(火) 00:28:20.32 ID:QplngCWO0
ヴェロニカはわくわくしながらコップに入れて、ちょっぴりニオイを嗅いでみた。
すると、驚いたね。ヴェロニカの鼻から血が流れ出たんだ。
それも普通の量じゃあない。だくだくと、川の流れのように血が吹き出たんだ。
普通の人ならニオイを嗅いだだけで、死んじゃってたかもしれないね。
48: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2016/03/22(火) 00:30:00.61 ID:QplngCWO0
そっと唇を、コップのふちにつけてみる。
すると唇に、ズキリと突き刺すような衝撃が走り、べろんと唇が剥がれてしまった。
これをいっきに、全部、まるごと、飲んだらどうなっちゃうのかしら ……。
49: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2016/03/22(火) 00:32:38.94 ID:QplngCWO0
コップを手にしたヴェロニカは、エイと勢いをつけて中身を飲み干した。
液体がヴェロニカの歯に当たると、歯は根本からグラリと崩れだした。
液体がヴェロニカのノドを通ると、ノドがグツグツと沸き立った。
50: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2016/03/22(火) 00:34:53.76 ID:QplngCWO0
それはもう恐ろしいほどの痛みさ。言葉に出来ないくらいの痛みさ。
身体が内臓の内側から、細胞の一つ一つになるまでカミソリでバラバラに解体され、さらにその細胞一粒ひとつぶを、すり鉢でスリ潰されるかのような痛みさ。
痛みに慣れてるヴェロニカも、さすがに今回はちょっとクラクラしたね。
砂糖の甘味が無かったら、痛みに耐えられなかったかもね。
51: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2016/03/22(火) 00:36:41.63 ID:QplngCWO0
今まで感じた事のない痛みを受けて、ヴェロニカはニヤニヤと笑ったよ。
ああ、これこそ死の痛みなんだ!わたしはようやく、死ねるんだ!
そう思ってニヤニヤしたよ。ニタニタ、ニコニコ、笑ったよ。
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