過去ログ - 塩見周子は速水奏とデートがしたい
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29:名無しNIPPER[saga]
2016/03/20(日) 17:40:28.39 ID:bBbJtDB6o
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 「あ、良い色」

 「そうなん?」

 「周子に似合いそうな色、って意味よ」

 「あたしはそーゆーのさっぱりだからなぁ」

 「なら試した方が早いわ」

店員さんに声を掛けて、奏が試供品の口紅を捻る。
鏡の前に並んで腰掛けると、奏はあたしの唇を丁寧に塗り始めた。

 「この前ね、文香と」

 「うん」

 「……」

 「……奏?」

 「ごめんなさい。野暮だったわ」

 「え?」

 「デート、だものね」

目の前の鏡をひっくり返してやりたかった。
先にチークを差しておけばよかった。
目の前の奏がいやに近く感じてしょうがなかった。

 「ほら、良い色」

 「……うん」

鏡の中のあたしはチークを差している。
あいつだけズルい。全く不公平だ。


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