過去ログ - 塩見周子は速水奏とデートがしたい
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37:名無しNIPPER[saga]
2016/03/20(日) 20:28:06.85 ID:bBbJtDB6o


 「は、ぁ…………っ」

 「……っは、ふ、ぅ…………」


何秒? 何時間? 何年?
あたしの世界に光が戻って、頭の上で満月様がのん気に輝いていた。
とびきりの甘さに慣らされた喉が、久しぶりに吸った潮風に咽せる。

 「……」

奏が自分の唇を指で撫でる。
あたしの口紅が不格好に塗られて、本当に血を吸った跡みたいに見えた。

 「……」

 「……」

奏がハンカチを取り出した。
自分の唇を拭って、そのままあたしの唇も同じように。
間接キスだね、なんて、そんな事を言う余裕も残っていなかった。

 「ごめ」

 「言うな。言ったら絶交だかんね」

 「…………ありがとう」

私達はいつの間にか抱き合っていた。
そのまましばらく黙り込んで、どちらからともなく離れる。
奏の帽子はどこかへ飛んでいってしまっていた。


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