6:名無しNIPPER[saga]
2016/03/22(火) 00:27:50.38 ID:w8NWr5C/0
「昨日寝不足だったんだよ、足が痺れたせいで」
彼女は大きな目をくりくりとさせながら、可愛らしく首を傾げる。へにゃりとした口と相まって、猫のような小動物を連想させる。
それが天然なのか理性なのかは分からないが、彼女は人の奥深くにある感情をよく見抜いた。
かといって必要以上にそこに踏み込むわけではなく、個人の想いを大切にしてくれる。
だから杏は彼女と10年以上付き合えてきたんだろう。
今日の彼女も杏がちょっとめんどくさい気持ちを抱えてることに気付いたのに、強く干渉してくることはなかった。
ただ、杏の勘違いじゃなければ、今日の彼女は珍しく杏を咎めてた……ような気がする。
会話の多くは他愛のないお話で、あそこにあったお店の服はお洒落だとか、美味しいスイーツ店を見つけたとか、どこにでもある女の子同士のお会話だったはずなのに、その間中ずっと彼女の目の奥には金色が映っていた。
なんだか目をそらすことさえできず、杏はずっとお説教をされてるような気分でいた。
彼女が身振り手振りで話に色をつける度、椅子がキシキシと相槌をうつ。注文したジュースの氷は決して音を響かせないよう気をつけながら、密やかに溶けていく。
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