7:名無しNIPPER[saga]
2016/03/22(火) 00:36:27.18 ID:w8NWr5C/0
「杏ちゃん、旦那さんとはどう?」
「プロデューサー?」
「……もう、意地悪しちゃだめだよぉ」
「意地悪なんかじゃないって」
仕方ない。彼は杏の旦那であり、夫であり、やっぱりプロデューサーなんだ。まだパパやお父さんになる気はないらしい。
途切れた会話の間に油断してストローで氷をかき混ぜてしまう。
カラカラと響く音が寂れた店内の壁に染み込んだ。
「好きってね、言わないと伝わらないんだゆ?」
「……知ってる」
普通に返したつもりが語気は尖った色を含んでしまって、自分が思ったよりも拗ねていることを自覚した。
金色は杏を覗き続ける。目をそらすためにストローを吸えばジュースの味はすっかり薄くなっていて、果実の香りだけが口の中に広がっていった。
その日の夕方は彼女と洋服やアクセサリーを見て回った。
彼女は両手いっぱいの紙袋を提げていたけど、杏が買ったのはピンク色の髪留めと水玉模様のネクタイだけ。
見慣れない番号から連絡があったことに気付いたのは、くたくたになって家に帰った後だった。
31Res/23.32 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。