過去ログ - 前川みく「ハンバーグが鳴く頃に」
1- 20
14: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/03/22(火) 11:46:58.22 ID:6MxfTFCf0
===

「それにしても、蘭子ちゃんが絶賛するぐらいだから……きっと、相当美味しいんだろうにゃ〜」

「心して待つが良い。決して、後悔はさせぬ」

 春の匂いをたずさえた心地よい風に吹かれながら、二人は並んで街を歩く。
 空は青々と晴れ、白い雲がゆっくりと流れていた。
 
 ぽかぽかとした陽気を全身に浴びながら、まだ見ぬハンバーグの味を想像して、みくの喉が鳴る。
 
 もしかして、聞かれてしまっただろうか? 
 隣を歩く蘭子が、みくの視線を受けて不思議そうに首を傾げる……どうやら、大丈夫だったようだ。
 
 気恥ずかしさを誤魔化すための鼻歌を口ずさみながら、二人はそのまま大通りを抜け、住宅街も通り過ぎ……
 少し閑散とした通りにやって来たところで、ようやく蘭子が口を開いた。

 
「もう少しで、約束の場所ぞ」

 そこは、町外れと言ってもさしつかえのない場所だったが――日本では珍しい、
 レンガ造りの住居がまばらに立ち並ぶ、なんとも雰囲気のある場所で。
 
「はぇ〜。こんなところがあるなんて、知らなかったにゃ」

 思わず、感嘆の吐息がみくの口からこぼれると、それを聞いた蘭子が言う。
 
「フフッ……良い景色であろう?」

 どうやら、蘭子もこの景観を気に入っているようだ。
 そもそも彼女はこういった西洋ゴシックが好みなので、当然といえば当然なのだが。
 
 しかし、そこからさらに歩くこと数分。
 住居が途切れ、目の前にうっそうと茂る雑木林が見えてきたところで、蘭子の足取りが急に重たくなった。


<<前のレス[*]次のレス[#]>>
47Res/27.17 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice