過去ログ - 高槻やよい「思い出はもやしと共に」
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30: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/03/24(木) 18:58:21.17 ID:K/5XZl+00
「大正解〜! 良い子にお留守番してたはづきちゃんに、お姉ちゃんからのお土産です」
ケロケロビスケット。それは、可愛らしいカエルのイラストが印刷された
ビスケット生地の裏にチョコレートが塗ってあるお菓子で、はづきはこれが大好きであった。
しかもシンプルゆえに飽きが来にくく、
気をつけないといくらでも食べ続けてしまう、魔性の魅力を秘めたお菓子でもある。
過去にもこのお菓子のせいで体重計に乗るのを嫌がるようになり、
その存在自体を封印してしまった女性を俺は知っていた……何を隠そう、妻のことだ。
そういえば以前、そんな妻がダイエットを始めると同時に余り買って貰えなくなったとはづきがぼやいていたが……
本人もその事を思い出したのか、もじもじと下を向き、黙ってしまっているじゃないか。
「でも、いいのかな? ママが怒ったり、しない?」
「大丈夫よはづきちゃん。ちゃんとアナタのママに『はづきちゃんに買ってあげても良いかしら?』って聞いてるから!」
「……ほんとう?」
「えぇ! だからほら、どれでも好きなのを持ってって!」
ニコニコと笑う千早の言葉に若干の違和感を感じたが、俺が口を挟む前に彼女が持っていた袋を逆さにする。
すると、その場にドサドサと現れる大量の「ケロケロビスケット」。その数、軽く十は超えていた。
その物量に圧倒され、はづきも大きく口を開けてその場に立ち尽くす。
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