34: ◆K5gei8GTyk[saga]
2016/03/25(金) 01:07:54.11 ID:vxIFxQsM0
店を出て、特にどこという宛てもなく歩く。
一日働き詰めた身体は弱々しく悲鳴を上げたが、立ち止まってしまうと次の一歩が二度と出ない気がした。
俺の隣を歩く彼女は、のろのろとした俺の歩調に合わせてくれている。
P「……あんたは」
前を向いたまま、彼女に問いかける。
P「卯月の知り合いだったのか」
のあ「……深くはない、付き合いだったわ」
皮肉にもその言葉は、俺の気を僅かながら軽くした。
P「彼女が、アイドルをしていることは?」
のあ「知っているわ」
P「……実は、彼女はもう、アイドルではなくなったんだ」
のあ「この前会ったとき、もうアイドルを諦めると言ったわ」
アイドルを諦める。その言葉が胸に深くに刺さる。
幾つか、片手で数えられるほどの数の星が瞬いているのが見える。
依然として空は黒々とした夜に覆われていて、明ける気配はない。
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