過去ログ - まゆ「夜は、忙しい」
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5: ◆Zo89VSw555MV
2016/03/26(土) 00:46:58.13 ID:uE9Ah2ja0
私が列の中に入って行ったのを確認すると、あの人はわざとらしく二、三回咳払いをして再び語り始めた。

曰く、欠点を客観視する事の重要性。曰く、欠点を長所に変化させる事で増す魅力等。

限られた時間の中、何度も鏡の前で練習したのであろう理路整然としながらも力強い言葉は、私がスカウトされた時の事を思い出させる。

キミは素敵だ、魅力的だ、なんてモデル時代に何度も言われて辟易としていた所に、突然彼は現れて。

「君は素敵な色をしている。情熱的な赤色だ」

だなんて、歯の浮くようなセリフを私の手を取って、真顔で言いだしたんですから。

その時でした。私は自分の中に走った稲妻のような感情に、気づいてしまったのです。「ああ、この人しかいない」って。

今思えばあれは、当時私が好きだった少女漫画で、主人公がヒロインを口説く時に使っていたセリフでしたね。心に響いて当然です。

そのままの勢いで私は、あれよあれよとモデルをやめ、気づけば大手プロダクションの今をときめく売れっ子アイドルの一人です。人生とはわからないものですね。


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