過去ログ - 西住みほ「堕ちていくほど、美しい」
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12:津島[saga]
2016/04/01(金) 22:19:07.17 ID:sOyMUoJv0
私は病床で、病でもないのに臥せったまま、無為に退院までの日を過ごしました。
尋ねる人は不在でした。
ぼんやりと天井を眺めるまま、私も死んでいれば、と思いました。
13:津島[saga]
2016/04/01(金) 22:22:08.27 ID:sOyMUoJv0
やがて退院の日が来ました。
迎える人も、不在でした。
もしかしたら、姉が迎えにきてはくれないかと期待もしたのですが、戦車で来られでもしたら卒倒していたでしょう。
14:名無しNIPPER[sage]
2016/04/01(金) 22:22:58.22 ID:cM/RpA5uo
期待
15:津島[saga]
2016/04/01(金) 22:23:31.98 ID:sOyMUoJv0
家で私を待っていたのは、恥辱であり、面罵であり、地獄でした。
16:津島[saga]
2016/04/01(金) 22:24:18.57 ID:sOyMUoJv0
私が玄関先で何も言えないで、変にもじもじしているのを一瞥した母は、
「入りなさい」
17:津島[saga]
2016/04/01(金) 22:25:04.99 ID:sOyMUoJv0
暗がりを歩くようにおっかなびっくりと家に入る時は、とても敷居が高く感じられました。
18:津島[saga]
2016/04/01(金) 22:25:44.18 ID:sOyMUoJv0
眼前に座る母は、和室の戦車柄の襖も相まって閻魔様のように見えました。
その傍に座っている姉でさえ、まるで地獄の悪鬼悪霊と見まごうほど恐ろしく感じられるのです。
19:津島[saga]
2016/04/01(金) 22:26:32.44 ID:sOyMUoJv0
「よくもおめおめと顔を出せたわね、この恥曝し」
20:津島[saga]
2016/04/01(金) 22:27:14.91 ID:sOyMUoJv0
おおかたそのようなことを言おうとしていたのか、はたまた私を労わる言葉をかけようとしてくれていたのかは、ついぞわからぬままになりそうです。
21:津島[saga]
2016/04/01(金) 22:28:04.33 ID:sOyMUoJv0
「何故フラッグ車を放って救助に行ったの」
「...え、っと」
「貴女が助けに行こうと行くまいと、どのみちあの子達は死んでいたわ」
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