過去ログ - 西住みほ「堕ちていくほど、美しい」
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552:津島[saga]
2016/05/26(木) 23:39:18.55 ID:DmRot5ES0
中庭で、私達は敵フラッグ車のティーガーTへと向き合いました。
553:津島[saga]
2016/05/26(木) 23:39:48.17 ID:DmRot5ES0
「西住流に逃げるという道はない」
554:津島[saga]
2016/05/26(木) 23:40:32.94 ID:DmRot5ES0
これまで機械のように口を閉ざしていた姉が、初めて声を発しました。
それは、お前に勝てるのか、という挑戦状であり、西住流の矜持を、誇りを、未来を背負う者の覚悟でした。
555:津島[saga]
2016/05/26(木) 23:41:06.04 ID:DmRot5ES0
「受けて立ちます」
556:津島[saga]
2016/05/26(木) 23:41:37.32 ID:DmRot5ES0
躊躇いもせずにそんな事を言えたのは、私がひとりではないからでした。
一瞬の静寂を、W号とティーガーTの咆哮が破りました。
557:津島[saga]
2016/05/26(木) 23:43:02.85 ID:DmRot5ES0
いかにレオポンチームの皆さんの奮闘があるとはいえ、いかに一騎打ちを仕掛けているとはいえ、敵はフラッグ車を除いてまだ11輌を残しているのですから、そう長く戦い続けるわけにもいきません。
おそらく姉以外では、逸見さんがすぐに私のやらんとするところを見抜くでしょう。
ポルシェティーガーの装甲とて、それほど長くはもちません。
558:津島[saga]
2016/05/26(木) 23:43:58.70 ID:DmRot5ES0
廃校の中庭で、私達は互いに背後を探りあい、遮蔽物から遮蔽物へと移動し続けていました。
しばらくして響いた音は、徹甲弾ではなく榴弾のそれでした。
一瞬の間を置いて、道が破壊されていることを確認すると、全速で後退し、背後に迫るティーガーTに車体をぶつけることで辛くも一撃は避けることができました。
559:津島[saga]
2016/05/26(木) 23:44:55.92 ID:DmRot5ES0
見て呉れをいかに変えたところで、元来の装甲の薄さは誤魔化しようがありません。
ティーガーTの88mmは、こちらを正面からでも瞬殺できる威力を秘めているのですから、一発でもまともに喰らうことは避けねばなりませんでした。
しかし度重なる砲撃でシュルツェンは徐々に剥がされて行き、徐々に丸裸に近づいています。
560:津島[saga]
2016/05/26(木) 23:45:28.80 ID:DmRot5ES0
その上、ポルシェティーガーの被撃破報告が届き、残るは鮟鱇のみとなり、いよいよ私達は追い込まれました。
561:津島[saga]
2016/05/26(木) 23:45:59.69 ID:DmRot5ES0
このまま一進一退を繰り返すだけでは、無様に負けるのを待つのと同義です。
かといってティーガーTの正面装甲をW号で抜くことは不可能に近い所業ですから、ひとつ賭けに出ることを選んだのです。
562:津島[saga]
2016/05/26(木) 23:46:46.92 ID:DmRot5ES0
装填速度を速めることはできますか、と尋ねると、優花里さんは二つ返事で、可能ですと言ってくれました。
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