過去ログ - 西住みほ「堕ちていくほど、美しい」
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567:津島[saga]
2016/05/26(木) 23:49:28.36 ID:DmRot5ES0

回りこむ直前、互いに一撃を交わし、転輪も履帯をも引き千切りながら、吸い込まれるように私達はティーガーTの背後へと回り込み、砲撃の音が重なって轟きました。



568:津島[saga]
2016/05/26(木) 23:49:57.83 ID:DmRot5ES0
爆煙が周囲に満たされ、僅かな炎がいくばくか上がっているようでした。


569:津島[saga]
2016/05/26(木) 23:50:23.50 ID:DmRot5ES0
ぼんやりと、遠くのキューポラに、間に合わなかった、という落胆の顔が見えました。


570:津島[saga]
2016/05/26(木) 23:50:49.97 ID:DmRot5ES0

白旗は、ティーガーTから上がっていたのです。



571:津島[saga]
2016/05/26(木) 23:51:22.90 ID:DmRot5ES0

試合後、勝利の喜びに浸る皆さんを置いて、私は姉のもとに走りました。

私はどうしても、姉の言葉に関して、真意を問わねばならなかったのです。

以下略



572:津島[saga]
2016/05/26(木) 23:51:48.07 ID:DmRot5ES0

姉は私を振り返ると、優勝おめでとう、と一言言いました。

そして、ごめんね、と言いました。

以下略



573:津島[saga]
2016/05/26(木) 23:52:15.76 ID:DmRot5ES0
私は、あの時の真意を問いました。

ここでも、Pravda戦での一件のような、驚くべき事実が明らかにされたのです。


574:津島[saga]
2016/05/26(木) 23:53:24.07 ID:DmRot5ES0

「...あの時は、とにかくみほを熊本と戦車道から引き離す必要があった。事後処理をする間、みほに色々なものの矛先が向かないようにするためだ。へんに慰めを言うよりも、突き離した方がいいと思っていたんだ...済まなかった。」



575:津島[saga]
2016/05/26(木) 23:53:51.41 ID:DmRot5ES0
姉は、涙を堪えているようでした。


576:津島[saga]
2016/05/26(木) 23:54:48.60 ID:DmRot5ES0
姉は、私を護るために手を尽くそうとしてくれていたのです。

ただ少し、言葉足らずで、不器用でした。

そして私は、どうしようもなく脆かったのです。
以下略



577:津島[saga]
2016/05/26(木) 23:55:30.20 ID:DmRot5ES0

「お母様をあまり責めないでやってほしい。赤星たちの死に、心を痛めていないわけじゃない。決して、人死を肯定などはしていないよ。お母様は、戦車道で誰かが亡くなったことを受け入れ難かったんだ。自分の道が、人を死に至らしめうるものであるとは、思いたくなかったんだろう。」



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