過去ログ - 西住みほ「堕ちていくほど、美しい」
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572:津島[saga]
2016/05/26(木) 23:51:48.07 ID:DmRot5ES0
姉は私を振り返ると、優勝おめでとう、と一言言いました。
そして、ごめんね、と言いました。
573:津島[saga]
2016/05/26(木) 23:52:15.76 ID:DmRot5ES0
私は、あの時の真意を問いました。
ここでも、Pravda戦での一件のような、驚くべき事実が明らかにされたのです。
574:津島[saga]
2016/05/26(木) 23:53:24.07 ID:DmRot5ES0
「...あの時は、とにかくみほを熊本と戦車道から引き離す必要があった。事後処理をする間、みほに色々なものの矛先が向かないようにするためだ。へんに慰めを言うよりも、突き離した方がいいと思っていたんだ...済まなかった。」
575:津島[saga]
2016/05/26(木) 23:53:51.41 ID:DmRot5ES0
姉は、涙を堪えているようでした。
576:津島[saga]
2016/05/26(木) 23:54:48.60 ID:DmRot5ES0
姉は、私を護るために手を尽くそうとしてくれていたのです。
ただ少し、言葉足らずで、不器用でした。
そして私は、どうしようもなく脆かったのです。
577:津島[saga]
2016/05/26(木) 23:55:30.20 ID:DmRot5ES0
「お母様をあまり責めないでやってほしい。赤星たちの死に、心を痛めていないわけじゃない。決して、人死を肯定などはしていないよ。お母様は、戦車道で誰かが亡くなったことを受け入れ難かったんだ。自分の道が、人を死に至らしめうるものであるとは、思いたくなかったんだろう。」
578:津島[saga]
2016/05/26(木) 23:56:06.24 ID:DmRot5ES0
犠牲無くして、勝利は得られない。
579:津島[saga]
2016/05/26(木) 23:56:56.70 ID:DmRot5ES0
あの言葉は、母の揺らぐ心を、過去を、生き様を否定しないための防衛機制だったのかもしれません。
起きてしまった結果は、信じてきた己のたたかいの果てにある報いとしては、あまりに残酷です。
私はとたんに、母を憎いと思う気持ちを喪い、むしろ同情すら抱くようになっていました。
580:津島[saga]
2016/05/26(木) 23:57:23.19 ID:DmRot5ES0
顧みると、人の心を疑うのは、最も恥ずべき悪徳でした。
581:津島[saga]
2016/05/26(木) 23:57:58.53 ID:DmRot5ES0
それから私は、泣きかけた姉を抱きしめて、かつてPravdaのふたりに贈った言葉をかけ、その苦しみに寄り添っていました。
あとには、大洗が護られたという事実だけが残りました。
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