過去ログ - 西住みほ「堕ちていくほど、美しい」
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582:津島[saga]
2016/05/26(木) 23:58:40.16 ID:DmRot5ES0
それが、唯一の救いでした。


583:津島[saga]
2016/05/26(木) 23:59:09.08 ID:DmRot5ES0
いまは私には、幸福も不幸もありません。

今でさえ、折に触れて、赤星さん達が死んだときに私も死んでいるべきだった、という思いが頭をよぎります。


584:津島[saga]
2016/05/26(木) 23:59:37.20 ID:DmRot5ES0
しかし、大洗に逃げてからの数年間は、私の生涯で唯一、命を賭して守るべきものが与えられた瞬間だったのです(となると、私が会長を犯した夜は、私がこの身を以って学校を護るという誓約だったのでしょうか。生徒会の皆さんは私以外に頼る者がいなかったのですから、どうか責めずにいてください)。


585:津島[saga]
2016/05/27(金) 00:00:08.84 ID:psIF1EIN0
本当のことを言いますと、廃校の危機を脱したらすぐに、もっとも楽な世界へ消えてしまうつもりでした。

けれども、後に残されるみなさんのことを考えるといかにも不憫です。

そのうえ、また決勝で相見えることをエリカさんと約束していましたから、そのまま死ぬ訳には行かずに、ずるずると今日まで生きて参りました。
以下略



586:津島[saga]
2016/05/27(金) 00:00:42.91 ID:psIF1EIN0
記憶してくださいまし。

私が生きたかったのは、立ち塞がるものを薙ぎ倒して往く戦車の道ではなく、己の足で歩んで行く人の道だったのです。


587:津島[saga]
2016/05/27(金) 00:01:08.28 ID:psIF1EIN0
撃てば必中。

守りは固く、進む姿は乱れ無し。

鉄の掟。
以下略



588:津島[saga]
2016/05/27(金) 00:01:43.95 ID:psIF1EIN0
人として幼い少女を淑女に育て、良き妻、賢き母として成熟させるための礎としてはこれ以上ない、よい規範でしょう。

しかし、普遍的な家族愛とかいったものをもたらしてはくれません。



589:津島[saga]
2016/05/27(金) 00:02:09.32 ID:psIF1EIN0
母も、姉も、逸見さんも、ノンナさんも、カチューシャさんも、是とした自分の闘いを、たたかい抜いていただけなのです。

赤星さんたちの死は誰のせいでもないという事実が、やりきれぬ無念となって私を塗り潰して行きました。


590:津島[saga]
2016/05/27(金) 00:02:52.16 ID:psIF1EIN0

私は今になって、人の業というものを強く思い知らされたのです。



591:津島[saga]
2016/05/27(金) 00:03:18.65 ID:psIF1EIN0
沈んでいった赤星さん達が、今を懸命に生きている大洗のみなさんが、そしてエリカさんとの約束が私を生き長らえさせました。

それからもう一年が経つでしょうか。

明日は大洗女子学園と黒森峰女学園との決勝戦です。
以下略



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