過去ログ - 【ガルパン】西住しほ「おかえりなさい」
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157: ◆5yXN2jIX2Y[sage saga]
2016/04/09(土) 22:49:30.28 ID:iF80Ipuz0

=現在車両数 大学選抜9対22高校連合=

 高校連合の邪道とも言える奇策の数々に大学選抜は混乱していた。同時にそれらを実行したことで、大学選抜の無線はさぞ錯乱していることだろう。そこを上手く突いたことによる連続撃破だった。
 先程まで高校連合の負けを匂わせる発言をしていた観客も今度は大学選抜が負けそうだと、手の平を返すような発言をしている。それほどまでに高校連合の連撃の反撃は鮮やかだったのだ。
以下略



158: ◆5yXN2jIX2Y[sage saga]
2016/04/09(土) 22:51:03.37 ID:iF80Ipuz0
 しかし高校連合優位なその空気はすぐに消え失せるのである。大学選抜隊長車島田愛里寿が動いたのだ。
 愛里寿の乗るセンチュリオンが動き出すと、動揺し混乱していた大学選抜の戦車達が落ち着きを取り戻した。冷静さを取り戻した彼女らは速やかに3突を撃破すると隊長車と合流を図るようだ。
 それは隊長車の護衛などではない。むしろその圧倒的戦力に追随することで、敵の殲滅を確実なものにするためだ。センチュリオンは場内に入るとたった1両で複数の高校連合車を相手取り、その全てを撃破してみせた。中隊長達と思われるマーク持ちのパーシング3両も、3両が合流した途端に動きが変わった。その動きはまるで3両で一つの生き物であるかのように瀟洒で可憐、華のあるまるで演舞のような動きであった。


159: ◆5yXN2jIX2Y[sage saga]
2016/04/09(土) 22:53:09.78 ID:iF80Ipuz0
 各個が強者でこそ最強であるとする、単車での華美で鮮やか且つ圧倒的な技量を重要視するのが『島田流』である。マーク持ちのあの3両はおそらく『島田』の門下なのであろう。その技量と独特の華やかな動きですぐにわかる。
 3両も出会う的全てを葬り、隊長車へと合流を急ぐ。しかししほはその3両を見て感心もしたが同時にまだまだだと思った。3両の強さは『島田流』の動きに3両の高レベルの連携を加えることで、成り立っている。だが『島田流』とは個の力に重きを置くのだ。3両の連携による瀟洒な立ち回りではなく、1両での圧倒的なまでの技量による華美で豪快な戦闘をしてこそなのだ。それが私に辛酸を舐めさせた島田千代の『島田流』なのだ。誰よりも彼女の戦い方を見てきたしほは高い練度の3両の乗組員に賞賛と同時に、未熟さをみたのだった。



160: ◆5yXN2jIX2Y[sage saga]
2016/04/09(土) 22:54:39.88 ID:iF80Ipuz0
 連続して落とされていた高校連合だったが、PティーガーとT34/85とティーガー2の連携よって大学選抜の中隊長3両の内1両を落とすことに成功した。
 この際のPティーガーのエンジン規定をくぐり抜けるように、モーターの方を限界まで弄るという発想も大概有り得ないものだったが、しほは慣れてきたのか驚かなくなっていた。それどころかモーターを弄り速力の向上ということに少しだけ興味を持ってしまったのは秘密である。
 
 短時間で展開は反転を繰り返し、怒涛の応酬戦は最終局面へと突入した。


161: ◆5yXN2jIX2Y[sage saga]
2016/04/09(土) 22:55:25.76 ID:iF80Ipuz0

=現在車両数 大学選抜3対2高校連合=

 あれだけいた戦車だったが、この場に残ったのはこの5両のみとなった。高校連合各車の尽力により、T28をはじめとする大学選抜のこの場にいない戦車達は全て撃破されていた。大学選抜側は隊長車のその圧倒的な実力によって視界に映る全ての高校連合車両をなぎ払った。残ったのは『島田流』と『西住流』の2大流派の指導を受けた者達であった。
 


162: ◆5yXN2jIX2Y[sage saga]
2016/04/09(土) 22:56:58.92 ID:iF80Ipuz0
 5両すべてがアトラクションの並ぶ広場に入るとすぐに戦闘は始まった。最初に脱落したのは『島田』のパーシングだった。まほがトンネルに飛び込むのと合わせるように、みほの乗るW号が富士を模した高台を駆ける。囮となったまほを追走する形でトンネルに入ったパーシングを出口で急停車することによって動きを奪わった。センチュリオンと接触するも上手く砲撃を回避したW号は、まほによって止められたパーシングをトンネル上部から車体を乗り出す形で真上から砲撃する。排気口を抜かれ白旗をあげるパーシング。これで2対2である。


163: ◆5yXN2jIX2Y[sage saga]
2016/04/09(土) 22:57:42.45 ID:iF80Ipuz0
 この状況で横転の危険が有ることを平然とやってのけるW号の乗組員達は流石だ。砲撃による衝撃で上手く体制を立て直せたものの、失敗すればあの場で走行不能だ。みほが乗組員を高く評価し信頼しているのが伺えた。
 サラッと行われた今の連携だったが、パーシングを止めるタイミングとW号が上方にくるタイミングは完璧に合わせられていたから出来たものである。息の有った姉妹二人だからこそ出来るものであった。


164: ◆5yXN2jIX2Y[sage saga]
2016/04/09(土) 22:58:46.92 ID:iF80Ipuz0
 娘二人がこうして再び連携を取っているのを見れたことでしほの心は浮き立っていた。一度は自分の手によってその二人の間を裂いたのだ。それがこうして再び共に戦っている。消えたと思っていたが、自分の中にある蟠りはまだ残っていたようだ。それはみほに対してだけではなく、みほを離したことで姉として心配し葛藤していたであろうまほを思ってのものだった。
 そうした憂いがようやく解消されたのだった。感傷に浸っているウチに、もう一両のパーシングは倒されていた。



165: ◆5yXN2jIX2Y[sage saga]
2016/04/09(土) 23:00:33.10 ID:iF80Ipuz0
 =現在車両数 大学選抜1対2高校連合=

千代「.......」

しほ「.......」
以下略



166: ◆5yXN2jIX2Y[sage saga]
2016/04/09(土) 23:02:25.51 ID:iF80Ipuz0
 千代はこの戦いが今まで何度もやりあってきた、しほとの戦の続きだと思っている。この試合を『島田』対『西住』だと思っているからだ。
しかししほは違っていた。高校連合は『西住』であって『西住』にあらず。この支柱となっているのは西住みほによる『大洗流』なのだ。試合前までは千代と同じ気持ちであったが、試合の中でみほの『大洗』は新しい形の流派の一つと認めてしまった。であればこの戦いは私達の代理戦闘などではなく。『島田』VS『大洗』。『個の強さVS仲間との絆』と言った方が正確だろう。しほはまた考えを改めたのだ。みほに感化されたのか彼女もまた柔軟になってきていた。
 異なる二人の気持ちを乗せて、視線はモニターへと突き刺さる。
 


167: ◆5yXN2jIX2Y[sage saga]
2016/04/09(土) 23:04:59.35 ID:iF80Ipuz0
 西住姉妹による連携と連撃は確かなものだった。並みの相手であれば数秒と持たないだろう。しかし相手は島田であった。愛里寿は超信地旋回によって砲弾を避け、踊るように動き回りアトラクションを吹き飛ばす。その華やかで豪快な動きは完全に『島田』の戦闘である。
 先程破れたマーク持ちのパーシング達は1両を削がれていたことによって連携がうまく機能できていなかった。だからこそ敗れたのだ。彼女達は3両で『島田』再現しようとしていた。だがここに居る愛里寿は正しく単騎で『島田』を体現しているのである。さすがは正当後継者だ。
 それに立ち向かう『西住』姉妹。しかしその戦い方は到底『西住』とは言えないだろう。それもその筈である。『西住』は集団であることを前提としている。陣形により包囲し火力で殲滅する。そうしたやり方を得意とするのだ。この場にいるのは2両のみだ。包囲などできないし、センチュリオンが相手では挟撃しようにも片方が早々に打倒されて直ぐに終わりだろう。
 そうした様子を見てここに来て千代も察する、愛里寿が戦っているのは『西住』ではないのだと。


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