過去ログ - ことり「ふたつの太陽」
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20: ◆wOrB4QIvCI[saga]
2016/04/04(月) 04:01:21.11 ID:morH4XlL0

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 部屋の外から甘い声がする。ううん、甘いだけでは物足りない、甘ったるくて優しくて暖かい声。お母さんじゃない、よく知っている声だけれどどうして私の部屋の外から聞こえてくるの?


 ああそうか。お母さんが入れたんだ。確か花陽の時もお母さん、私になんにも話を通さずにリビングに入れていた。――ことりもそうしたんだろう。私の友達といえば、正直女の子なら誰でもこの家に進入できてしまうんじゃないだろうか。それはお母さんに注意した方がいいかもしれない。まあ、ことりの場合花陽とは少し違うらしいけれど。


 甘い声の持ち主である南ことりは、小さい頃私と遊んでいたらしい。向こうも私も覚えていないけれど、お母さん同士が友達で、家に遊びに来たことがあったという。てことは、一応幼なじみ、なのかしら?


 ことりはさきほど真姫ちゃん真姫ちゃんと小鳥のように呼びかけ続けている。お菓子持ってきたよとか、またみんなで踊ろうよって。


 一人で来たらしい。ことりにしては珍しいような気がするけれど、穂乃果に頼まれたっていうのが正解なんじゃないかしら。どっちでもいいけど、もう……どうでもいい。


 こつんこつん。ドアが叩かれる。もう20分が経過しているのにことりは帰る気配がない。それ以上に、なんだか話を始めている。私がいない間になにがあったのか、みんな帰りを待ってるよって。


 ことりは優しい。私が欲しい言葉を言い続けてくれる。少しだけ暖かい気持ちになったような気がする。でも――涙で染みになった枕を掴んで、投げる。


 扉にドンと当たって、外からことりの小さい悲鳴が聞こえた気がした。


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