21: ◆wOrB4QIvCI[saga]
2016/04/04(月) 04:02:43.96 ID:morH4XlL0
ことりは優しい。
でも……今の私が欲しい言葉は、穂乃果しか言えないの。
子供みたい、でも……欲しいものは、欲しいの。
ことり「……ごめんね、邪魔だったよね」
ことり「でも本当にね、ことりは待ってるからね」
ことり「……ケーキ、作ってきたんだ」
ことり「私が作ったのおいしくないと、困るから……ちゃんとしたケーキ屋さんのも、入ってるからね」
ことり「置いておくね?」
足音が少しずつ遠ざかっていった。音が完全になくなって、また一人の世界に戻る。
やっぱり、落ち着く。
そういえば扉の前に……。
扉を開けると、足元に可愛らしい布の袋が置いてあった。手にとって開けてみるとアルミホイルに包まれている。
……チーズケーキ。ことりらしい、好きって話何回聞かされたかわからないくらいだったのを思い出す。
…………。
? 紙が入ってる。
これまたことりらしい何かのキャラクターが描かれているピンク色のメモ用紙には、一言が描かれていた。
――この袋、いつか返してねっ!
……そういう、ことね。
ことりは私の家にこれを置いて、直接返させるために……。そうまで私のこと。
……私、何をしていたんだろう。ことりだけじゃない、みんな、私のこと心配してくれてた。携帯電話の通知は止まらないし、迷惑だって思っていたのに。
穂乃果にフラれただけじゃない、初恋なんて実る方がすごいだけ。そう考えたらすぅっと心が軽くなったような気がした。
電源を切っていた携帯電話を起動させるとロック画面に表示しきれないほどの不在通知記録があった。
みんな、ごめん。
締め切っていたカーテンを開くと、夏の熱い日差しが差し込んだ。
166Res/145.65 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。