3: ◆8dLnQgHb2qlg[sage saga]
2016/04/05(火) 13:19:23.44 ID:lqZk7NNG0
「もう十年の付き合いになるか……」
並べられた料理を前に、黒井社長が呟く。
ここにいるのはCGプロから俺と社長と部長、そして黒井社長。
プロジェクトの全プロダクションが参加した会議が終わった後、CGプロの三人だけは黒井社長に呼ばれて料亭に来ていた。
「おいおい、私はかれこれ三十年以上顔を合わせているだろう?」
「貴様には言っていない」
「冷たいねぇ」
ウチの社長を軽くあしらって、酒を飲み干す。
黒井社長は最初からかなりのペースで飲んでいた。
「この席も渋谷凛の、ニュージェネレーションのプロデューサーと島村卯月のプロデューサーを労うために設けただけだ。勝手についてきただけだろう」
「それはなんというか、まぁ……」
勝手についてきた手前、社長も苦笑しかできない。
大人しく引き下がって静かにしていることにしたようだ。
「アイドルになって、トップになって、幸せを掴んで引退か……女の子の夢そのものだな。島村卯月はトップアイドルで、私のプロジェクトの顔だった。よくここまでのアイドルにしてくれた」
「卯月のおかげですよ。十分な素質はありました」
「島村のプロデューサーは俺じゃなくてこいつです。礼ならこいつに言ってやってください」
部長が珍しく俺を褒めた。
この人もずいぶんペースが速い。
あまり強いほうではないのだが。
「渋谷凛のプロデューサーは島村卯月が苦手か。私と少し似ているな」
黒井社長が心底おかしそうに笑った。
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