過去ログ - 屋上に昇って.
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117:名無しNIPPER[saga]
2016/04/21(木) 00:41:46.91 ID:bdsiqCIlo

「るー、あのさ」

 怖さは、やっぱりあった。
 拒まれること、ではない。たぶん、彼女は受け止めてくれる。
 
 でも、本当に彼女は、俺のことを知っているのだろうか。
 何か、勘違いしているんじゃないか。

 そんなふうに思う。

 今は、その錯覚が、都合よくて、るーは俺のことを受け入れてくれるかもしれない。
 でも、それが錯覚だったと気付いてしまったら、そのとき、失望されやしないか。

 勘違いだったと、落胆されはしないか。

 そうなったとき傷つくのは自分だから、だから俺は、自分が傷つくのが恐くて、逃げていたんだろう。
 でも、それでもかまわない、と今、思った。

「るー」

「はい?」

 彼女は何か、頼まれるのかと思ったのかもしれない。 
 水を汲んできてくれとか、そういうことでも頼まれるのかと。
 だから、自然な顔で続きを待っていた。

 俺はちょっとだけ逃げそうになって、結局言うことにした。

「るー、好きだよ」

 口に出すとき、目を閉じてしまった。
 どんな顔をするのか、見るのが恐くて。やっぱり俺は逃げてばかりだ。




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