過去ログ - 屋上に昇って.
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187:名無しNIPPER[saga]
2016/04/27(水) 23:43:30.91 ID:JrT/SnH5o

 遊馬兄は運転しながら、「時間の流れって早いなあ」って大人みたいにぼやいた。

 ちい姉が、かすかに頷く。

「るーもタクミも、あんなちっこかったのにな。気付けばもう高校生か」

 ぼんやりと、思い返すように、懐かしむように、感慨深げに遊馬兄がため息をつく。
 
 それを言ったら、ふたりが二十歳を過ぎてることだって、俺にはずいぶん衝撃的なんだけど。

 などと思っていると、不意に、

「そうですか?」とるーが不満気に声をあげた。

「あっというまですか?」

「るーは、違うの?」と、ちい姉。

 はい、とるーは頷く。

「わたしには、とっても、長かったですよ。今年の春まで、昨日まで、ずっと一日千秋の思いでしたよ」

「……だってさ、タクミ。待たせすぎだって怒ってるぞ」

 るーに目を向けると、彼女は遊馬兄の言葉に「そうだそうだ」というふうにこくこく頷いていた。

「……えっと」

「はい」

「……お待たせしました?」

「はい」

 ちょっと怒ったような顔で、るーは真剣に頷いた。




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