過去ログ - 屋上に昇って.
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222:名無しNIPPER[saga]
2016/05/06(金) 20:35:29.77 ID:sikNvEjMo

「……ね、タクミくん」

「なに?」

「わたし、タクミくんのお願い、きいてあげます」

「……うん。助かる」

「知ってますか? わたしはけっこう、恩着せがましい方ですよ」

「そうなの?」

「はい。だから、約束してください。……この旅が終わったら、たくさん、わたしのわがままをきくって」

「……」

「だって、この旅は……夏を、思い切り楽しむために、必要なことなんですよね?」

「……うん」

 夏を思い切り楽しむために、最初にどうしてもしなきゃいけないこと。

 本当は、逆であるべきだ。
 行けば分かる・やれば分かる・続けているうちに見えてくる。

 それが本当は、すごくシンプルで的確な解。

 性格の問題なんだろう。

「……少し、緊張するな」

「わたしがついてますから、大丈夫ですよ、と言いたいところですけど……」

 るーは、ちょっと照れたみたいに笑って、

「たぶん、わたしの方がずっと緊張してますよ」

 と言った。
 俺は少し笑って、窓の外を見る。




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