229:名無しNIPPER[saga]
2016/05/06(金) 20:39:24.39 ID:sikNvEjMo
「……さて」と、俺は深呼吸をしてから、玄関へと向かう。
るーが、斜め後ろをついてくる。
「……いきますか」
230:名無しNIPPER[saga]
2016/05/06(金) 20:40:02.52 ID:sikNvEjMo
◇
「本当に急なんだから」と、コップを三つダイニングテーブルの上に置きながら、不満気に口をとがらせた。
231:名無しNIPPER[saga]
2016/05/06(金) 20:40:39.66 ID:sikNvEjMo
母さんは、俺の顔をじっと見て、何かを言いたげにする。
「……なに?」
232:名無しNIPPER[saga]
2016/05/06(金) 20:41:09.65 ID:sikNvEjMo
「……あっちでは、どう? ちゃんとやれてる?」
「うん、まあ……」
233:名無しNIPPER[saga]
2016/05/06(金) 20:41:35.28 ID:sikNvEjMo
「ん?」
思わずそっちを見ると、彼女ははっとしたみたいに顔の前で手を振って、
234:名無しNIPPER[saga]
2016/05/06(金) 20:42:16.99 ID:sikNvEjMo
「ま、とにかく、向こうではうまくやってるみたいだね」
「うん……」
235:名無しNIPPER[saga]
2016/05/06(金) 20:42:51.10 ID:sikNvEjMo
とにかく、部屋に荷物を置こうと思った。
そういえば、るーをどの部屋に泊めるのか、考えていない。
別に自分の部屋でも構わないんだけど、両親が何と言うか……。
236:名無しNIPPER[saga]
2016/05/06(金) 20:43:28.75 ID:sikNvEjMo
いつだってそうだった。
喜びの基準も、悔しさの基準も、決めるのは俺じゃなかった。
誰かの反応をうかがって、自分が正しいのか、間違っているのかを決めていた。
237:名無しNIPPER[saga]
2016/05/06(金) 20:44:00.57 ID:sikNvEjMo
「……タクミくん、なんだか、つらそうですよ」
「……あ」
238:名無しNIPPER[saga]
2016/05/06(金) 20:44:26.62 ID:sikNvEjMo
と言って、彼女は俺のベッドに腰掛けて、ぽんぽん、と膝を叩いた。
「……なに?」
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