243:名無しNIPPER[saga]
2016/05/06(金) 20:48:11.84 ID:sikNvEjMo
「るー」
「……はい?」
「るーのこと、好きだよ」
「……あ、あの。なぜ、いまそれを」
「……るーは――」
言いかけて、言葉に詰まる。
何を、訊こうとしたんだろう?
試すみたいに、保証を求めるみたいに。
俺は……。
「……タクミくん?」
「拓海ー、入っていい?」
「うあっ!」
ノックと同時に、びくっと震えながら、るーはかすかに声をあげた。
「た、たくみくん離してください」
言われた通り、俺は体を慌てて起こす、と、立ちくらみのように、頭がぐらぐら揺れた。
「っと、あ……」
体から力が抜ける。
「あっ……」
耳元にかすかに聞こえた、変な声。
そんな声出すなよ、と思った。
甘くきこえる。甘い。匂いも声も仕草も。
俺の心が汚れているのか。……そうかもしれない。
いずれにしても問題なのは、返事がないまま開け放たれた扉と、
「麦茶もってきたから飲ん……」
「……」
「……」
その後の沈黙の処置のことだろう。
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