261:名無しNIPPER[saga]
2016/05/12(木) 00:26:47.35 ID:A/7oEX6oo
俺は、深呼吸をした。
「よだかに会ったよ」
「……」
「誰のことか、分かるよな」
「……」
「ねえ、父さん。本当に、心当たりはなかったの?」
父は何も答えなかった。
憎らしいほどの、血の繋がりを感じる。
ごまかし、嘘、つよがり、割り切り、開き直り、抑圧。
「あったとしても、父さんの気持ち、分からないでもないんだよ」
「……」
「俺だって同じ立場だったら、同じことを言ったかもしれない」
よだかは自分の子供かもしれません、なんて、そんなことを認めてどうなる?
母は? 俺は? 家族は?
今まで保たれていたいろいろなものが、全部壊れてしまうかもしれない。
耐えがたい真実と選びやすい虚偽ならば、後者を受け取るべきだ。
真実は所詮、ひとつの側面でしかない。
そうすることで、彼は何かを守ろうとしたのかもしれないし……。
あるいはただ、自己保身のためだったのかもしれない。
どちらにしても結果は同じことだ。
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