過去ログ - 屋上に昇って.
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297:名無しNIPPER[saga]
2016/05/15(日) 22:42:34.83 ID:GNfKg3P3o

「そんなことないですよ、きっと。タクミくんは、がんばってきたんだと思う。
 わたしには、ちい姉や、すず姉がいたから。だから、不安にならなかっただけです」

「……」

「タクミくんは、帰ってしまえばひとりで立ち向かわなきゃいけなかったから。不安になって、少し迷ったって、仕方ないです」

 ……きっと、自信がなかったんだろうな。
 誰も覚えてないかもしれない、と俺は思っていた。

 みんなにとって俺なんて、ただ偶然通りすがっただけの、なんでもない存在なんだって、勝手に思っていた。
 
 不安だった。みんなに会えなくて、話せなくて、顔も見れなくて。
 るーとメールしているときも、漠然と、不安だった。

 でも……。

 それはただの、思い込みにすぎなかったのかもしれない。

 でも、蓋を開けてみれば、みんな、俺のことを覚えていた。
 俺との約束を、るーは大切にしていてくれた。

「……ありがとう」

「どういたしまして」

 そして、猫は立ち止まった。




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