過去ログ - 屋上に昇って.
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287:名無しNIPPER[saga]
2016/05/15(日) 22:35:06.96 ID:GNfKg3P3o

◇[If you were coming in the Fall]


「猫だ」
以下略



288:名無しNIPPER[saga]
2016/05/15(日) 22:35:32.88 ID:GNfKg3P3o


 唐突に、落ち着かない気分になる。
 奇妙な戸惑い。

以下略



289:名無しNIPPER[saga]
2016/05/15(日) 22:36:10.93 ID:GNfKg3P3o

 俺にも、そういうふうに見えた。
 でも、どこかで冷静な自分が、そんな自分を諌めているのも分かる。
 
 猫だ。
以下略



290:名無しNIPPER[saga]
2016/05/15(日) 22:36:44.75 ID:GNfKg3P3o

「……ねえ、るー」

「はい?」

以下略



291:名無しNIPPER[saga]
2016/05/15(日) 22:38:05.94 ID:GNfKg3P3o

 猫は俺たちが追いかけはじめるのを見ると、すぐに歩き出した。まるで導くみたいな足取りで、ゆっくりと。
 道路も横切らずに横断歩道を使った。赤信号すら律儀に守っていた。

 るーも俺も、その不思議さに何も言わなかった。
以下略



292:名無しNIPPER[saga]
2016/05/15(日) 22:38:48.00 ID:GNfKg3P3o

「……不思議になるんだよな」

「何がですか?」

以下略



293:名無しNIPPER[saga]
2016/05/15(日) 22:40:09.61 ID:GNfKg3P3o

 日差しに歪む視界のなか、夏の気配にまぎれて、俺達は猫の影をどこまでも追う。

「……だいきらいって、言ったことがあるんです」

以下略



294:名無しNIPPER[saga]
2016/05/15(日) 22:40:43.50 ID:GNfKg3P3o

 るーの手を握った。

 彼女は、こちらを見上げてくる。

以下略



295:名無しNIPPER[saga]
2016/05/15(日) 22:41:40.42 ID:GNfKg3P3o


「だから、わたしにとって、あの夏は特別なんです。
 あんなふうに過ごせなければ、今みたいには、なれなかったかもしれないから」

以下略



296:名無しNIPPER[saga]
2016/05/15(日) 22:42:06.42 ID:GNfKg3P3o

 その約束を、どうして俺は、今まで忘れていたんだろう。

 父のことが、よだかのことがあったから?
 時間の流れが記憶を薄めて、実感を遠ざけたから?
以下略



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