過去ログ - 屋上に昇って.
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84:名無しNIPPER[saga]
2016/04/16(土) 00:59:02.47 ID:5Sr7dpy7o

 マンホールから水が溢れてて、古い道路が陥没してて、近所の家のガレージが斜めに傾いて、隣の家のお墓が折れてて……。
 段々、余震の震度が感覚だけで分かるようになって、ちょっと強い余震が来ると、こんどこそ家が崩れるんじゃないかって思った。

「家の近くのガソリンスタンドに発電機があってね、そこにみんな携帯を充電しに行ってたんだよ。
 子供の頃一緒に遊んでた近所の友達とかと、ひさしぶりに顔を合わせたりしてさ。
 ちょっとだけ……うん。ちょっとだけ、うれしかったな」

 近所の家の人の親戚が、海沿いに住んでて、家が流されたって言ってた。

「それもなんか、一階部分だけが流されて、柱が残って二階部分は残ってたみたいでね。
『すごいよな。昇ってみたいよな』って笑ってた。みんな生きてるから笑えるんだけどな、って言ってたけど」

 ようやく電気が通ったとき、テレビをつけて、またびっくりした。

「ラジオで聴いたのと、映像見るのじゃ、全然違ってさ。……うん、びっくりしたな。
 ここらへんは、うん。たぶん、ぜんぜん平気だったんだと思う。ガードレールがねじれたり、マンホールが突き出たりはしたけど。
 電気がつかなくて、いつになったら普段通りの生活になるんだって、不安になったりしたけど」

 でも、誰も死ななかったもん。わたしの身の回りでは、誰も。
 彼女はそう言った。




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