95:名無しNIPPER[saga]
2016/04/18(月) 00:24:26.01 ID:GhTBO6Rmo
「最初のうちはピンとこないことでもね、ふと、「ああ、あれのことか」とか、「こうなっていたのか」とか、「こんな言い方ができるのか」って、
分かるようになってくるんだ。そうなると、勉強していたいろんなことが、別々のことじゃなくて、ちゃんとした繋がりを持っていたんだって分かる。
いろんなアプローチがあるけど、不思議とどれも連綿と繋がっているんだ」
僕はずいぶんあとになってから気付いた。だから結局、あんまり参考にはならないかもしれないね。
「勉強っていうのは、テストや受験や将来の仕事や、そういうもののためだけじゃなくて、世界のひとつの楽しみ方でもあるんだよ。
……えっと、どうかな。言いたいこと、伝わるかな。説教臭いかな、やっぱり」
とりあえず、誰も文句も言わなかったし、不満そうな顔もしなかった。ただちょっと、やっぱりみんな、ピンと来ない顔をしていた。
部長だけが、ヒデを見てちょっと微笑んだ。
「うん。まあ、とにかく、それで、みんなにひとつ宿題を出します。これは、文芸部顧問としての課題」
ええー、と高森とゴローが声をあげた。
「夏休みの間、三冊。三冊で良いです。ジャンルはなんでもいいし、長さもどうでもいい。なんでもいいから、本を三冊読んでください。
……言われなくても読むって人も、いそうだけどね」
そう言って、ヒデはちらりと俺の方を見た。……偏見を持たれている気がする。
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