過去ログ - 屋上に昇って.
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96:名無しNIPPER[saga]
2016/04/18(月) 00:25:38.78 ID:GhTBO6Rmo

「そして、そのなかで一番気に入った本の……気に入らなかった本でも、べつにいいけど、そうだな。 
 一番気になった本、がいいかな。とにかく、それの読書感想文を書いてきてください」

「……読書感想文?」

「うん。読書感想文。短くても長くてもいい。どんな書き方でもいい。衒っても嘘をついてもいいし、適当に書いてもいいしわけがわからなくってもいい。
 とにかく、書いてきてください。僕は必ず目を通します。どんな感想でもいいです。正直な感想でも、それらしい感想でも、感想の体をなしていなくても、なんでもいいです」

 みんな、黙りこんだ。どういう意図なのか、探ろうとしてるみたいに。ヒデはおかまいなしに笑った。

「とにかく、みんな、一学期お疲れ様でした。ゆっくり休んで、遊んで、楽しんでください。楽しまないのも、それはそれでいいけど。
 人生にこの夏は一度きりって言ったって、君たちの人生は君たちのものだから、何もせずに棒に振ったってそれはそれでべつにいいんだ。
 教師として、こんなこと言ったらまずいのかもしれないけどね。まあとにかく、君たちにとって良い夏になることを、僕は願っています」

 戸惑い顔の俺たちを見回したあと、ヒデは満足そうに笑って、パン、と手のひらを打ち鳴らした。
 
「それじゃ、解散」

 その合図で、夏休みがはじまった。


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