過去ログ - モバP「望月聖にプロポーズされた」
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2016/04/06(水) 21:37:13.69 ID:E3kjTPZio
 「……交換……しましょう?」 
  
 確かに惚れ込んではいる。 
 だが、だが、だ。 
 その声とエクスチェンジされそうになっている俺という存在とは一体なんなのだ。 
  
 「……ね?」 
  
 鈴を転がすような愛らしく、どこか安心する声。 
 この声となら、いや、この声ではきっと吊り合わない。俺という存在の価値がきっと足りない。 
  
 「……交換しましょ。そー、しましょ?」 
  
 子供の頃にどこかで聞いたような囁き。 
 気づけば俺の小指に小さく、ほっそりとした小指が絡まるというよりはくっつけられていた。 
  
 「ひどい鮫トレだなこれ」 
  
 こんなに価値のあるもの相手に差し出すものを俺は生憎持っていない。 
 そんな俺のぼやきは空気に溶けていく。 
  
 「……俺のこと、からかって遊んでるだろ?」 
 「……んと、……どうかな……?」 
  
 目の前でいたずらな笑みを浮かべる望月聖は初めて彼女を見た時とはまるで別人のようで、少しだけ面白いような気がした。 
  
 「お前も冗談が言えるようになったのか……純粋だった聖も汚れてしまって……はぁ」 
  
 聖に無言で脛が蹴り上げられて俺は痛みに膝を抱え、蹲る。 
 なぜかそんな哀れな俺の背中に、さも当然のように座り込む聖。 
  
 「……もしかして、怒っていらっしゃる?」 
 「……別に」 
  
 その声はいつになく冷たかった。 
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