2: ◆bwwrQCbtp.[sage]
2016/04/07(木) 19:40:16.37 ID:hs8LFNrfO
ダメ・・・だったか・・・
オーディション合格者の番号と名前が発表される。
その中には、今井加奈という名前はなかった。
俺は天を仰いだ。
これは、痛恨だ・・・。
間違いなく、今日のオーディションでは、最有力候補だったはずだ。
まさか合格3枠にも入れないとは・・・。
「プロデューサー・・・」
傍にいた加奈が、悲しそうな、申し訳なさそうな顔をしていた。
いつものニコニコした明るさは見る影もない。
いかん。俺が動揺してどうする。
「残念だったな。終わってしまったものは仕方ない。また次、頑張ろう。」
つとめて平静を装いつつ言う。
自分自身にも言い聞かせながら。
「はい。」
加奈が気丈に答える。
今回は、明らかに俺の戦略ミスだ。
今日のオーディションが確勝と前提にして、その前に厳しいオーディション
を立て続けに入れた。
さすがに連戦連勝は酷だろうと思っていたが、一つくらいは勝てると期待
していた。
それが、結果は全てダメだった。
ただ、そこまではまだ、想定内だったのだ。
問題は今日だ。負けが込んでしまっていて、その状況で最有力候補と注目
された加奈は、明らかに表情も動きも硬かった。
加奈は悪くない。
悪いのは、加奈を追い込んでしまった俺だ。
「プロデューサー?あの・・・聞いてますか?」
加奈の声に我に返る。
「おっと、すまん。」
「わたし、今日は、いつもやっているようにできませんでした。それが残念
で・・・」
加奈、本当にごめん。俺のせいだ。
「そういう時もあるさ。それは仕方ない。さあ、今日はもう帰ろう。
明日・・・はオフにしよう。明後日から気を取り直していくぞ。」
合格していたら本番だったはずの、明日のスケジュールはなくなっていた。
「わかりました。」
「俺はこれから事務所に寄っていくから、送っては行けないが、まだ早いから
大丈夫だよな。気をつけて帰れよ。電車の乗り換えはわかるよな?」
「はい。大丈夫です。おつかれさまでした。」
「おつかれ。また明後日な。」
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