過去ログ - 今井加奈「二つ目の魔法」
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8: ◆bwwrQCbtp.[sage]
2016/04/07(木) 19:48:09.03 ID:hs8LFNrfO

 それから数日
 加奈はオフも返上してレッスンに励んでいた。
 今まで以上に、真面目に、熱心に。
 大一番に向けて、気合が入っていた。
 俺としては、頭の下がる思いだった。

 しかし、あの日から加奈の笑顔が見られなかった。
 時折、らしくない思いつめたような表情を見せることもある。
 それでも俺には、かける言葉が見つからなかった。


 そうして迎えた、フェス当日


 俺たちは、控え室で出番を待っていた。

 リハーサルの加奈は動きにキレもあり絶好調だった。
 他の出演者や関係者も、思わず見入るほどのレベル。
 サプライズがあるなら、今井加奈か、と思わせるには充分なほどだ。
 あとは、笑顔さえ戻れば・・・

「もうじき、だな。」
「そう・・・ですね。」
 二つ前の出番の出演者の演目が、佳境に入っていた。
 さすがに出演者はみんな気合が入っている。

 そのタイミングで、スタッフからスタンバイの声がかかった。
 舞台裏に向かって移動する。

 ステージへと向かう暗い廊下を歩きながら、横を歩く加奈に声をかけた。
「調子は良さそうだな。」
「はい。」
「それなら、行けるな?」

 加奈がピクッと反応して足を止める。

「どうした?」
「プロデューサー・・・わたし・・・怖いんです。」

 怖い?
 見ると加奈は小刻みに震えている。

「わたし、今日はどうしても勝ちたいんです!プロデューサーに辛い思いを
させたくないから、負けたくないんです!でも、自信がないんです!だから、
ステージに上がるのが、怖いんです・・・。」

 悲痛な叫び。
勝ちたい、負けたくないと思えば思うほど、怖さは増す。
加奈が、そこまで勝ちたいと思ってくれている。
俺は、どうすればいい?



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