7: ◆bwwrQCbtp.[sage]
2016/04/07(木) 19:46:53.94 ID:hs8LFNrfO
「プロデューサー・・・怒ってるんですよね?・・・わたしが、今日の大事な
オーディションで、うまくできずに落ちちゃったから・・・。」
「加奈に怒っていたわけじゃないよ・・・俺が怒っていたのは、俺に対して
だ・・・。今まで受けたオーディションの選び方も、今日のオーディション
で合格するだろうと甘く見ていたことも、そのせいで加奈のプレッシャーに
気付いてあげられなかったことも、全て・・・全て、俺が悪い。加奈にも
ちゃんと謝らないといけないな・・・すまなかった。」
「そんな・・・わたしがちゃんとできていれば良かったんです!それに・・・」
加奈がいったん言葉を切る。
「それに、もちろんソロデビューできれば嬉しいですけど、わたし、こんな
平凡な子だし、今日もオーディション落ちちゃうくらいだし、無理して今
ソロデビューなんてできなくても、アイドル続けられれば、それで充分です!」
ああ、そう言うんじゃないかと思ってたよ。
だからこのことは今まで言わなかった。
だけど
たとえ慰めのつもりでも
たとえオーディション落ちて落ち込んでいるからであっても
今は、今だけは、加奈の口からその言葉は聞きたくなかった。
しかし、加奈もいきなりこの状況を突きつけられて、追い詰められているんだ。
そして、追い詰めたのは俺だ。
「加奈、ちょっと聞いてくれ。」
涙が出てきそうになる。
「俺は、加奈のその明るさ、可愛さは、人を幸せにできると、そう思っている。
そう、信じている。だから加奈の姿を、一人でも多くの人に見せること、日本
中に、いや世界中に見せることが、俺のやりたいこと、やるべきことなんだ。」
ああそうだ。
それなのに、俺は
出来ることもしないで、挙げ句の果てには加奈を追い詰め、怯えさせ、悩ま
せている。
涙が抑えられなくなった。
「だから、悩むのは、落ち込むのは俺だけでいい。加奈は・・・加奈はいつも
のように、明るく・・・笑顔を見せていてくれ・・・」
嗚咽を抑えて言う。
「プロデューサー・・・ごめんなさい・・・」
加奈の言葉にハッとする。
「プロデューサーの言うことって、間違ってたことはないと思います。
だから、今もわたしが笑うのが、一番いいんだと思います・・・でも、でも!
ごめんなさい!プロデューサーが、わたしのせいでこんなに苦しんでるのに、
笑うなんて無理ですよぉ!」
加奈は声をあげて泣き始めた。
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