135: ◆m03zzdT6fs[saga]
2016/05/11(水) 04:39:47.25 ID:B4TJufEpo
□ ―― □ ―― □
「思ったよりも早い訪問だったな、Pくん。まあ私にとっては願ったりかなったりではあるが」
『ええ、あまり待たせてはいけないと思いましたから』
「殊勝な心掛けだ」
社長の豪放な笑い声が聞こえる。僕は恐縮しながら、眼鏡を掛けなおした。
……あれから二日。退院した僕は、その足でシンデレラガールズの社屋へと向かった。用件はただ一つしかなかった。社長に対する返事だ。
応接室らしい豪華な部屋で、社長と僕が向き合って座っている。正直なところ、足も手も震えていた。理由は単純だった。
目の前の社長が僕を見据えてくる。その視線が何というか、威圧的とも圧倒的ともとれるものだから、というのが理由の一つ。
もう一つは、今更ながら夢を追うことに対する恐怖が蘇ってきていることだった。それは、僕の決心を揺らがせるのに十二分過ぎると思っている。
だから、退院後に時間を置かずこの場にやってきたというわけだった。なんとも救いがたい小心、臆病の化身だろうか。自分の矮小さにほとほと呆れさせられる。
本当、度し難いと思う。路傍の石以下だよ。こんな自分を知られてしまったのだから、すでに見切りを付けられていてもおかしくはない。
なのに。
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