過去ログ - 【モバマスSS】双葉杏、王さまになる
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106: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/04/21(木) 20:07:37.22 ID:wvYa2Gcj0
 
 欲しいなら、必要な時に、必要な額を与えられて育ってきた。
 だから毎月親から振り込まれる、仕送りの額だってちょっとしたもんだ。

 例え私が調子に乗って使い過ぎたとしても、それでもなお余る程……
 でも、だからと言ってその「余ったお金」をきらりの為には使えない。
 きらりは、私がそれを彼女のために使うことを決して良しとしないからだ。
 
 もしも私が自分の意見を押し通し、「それ」をやってしまったとしたら、私は彼女との友情を「金で買った」ことになる。
 だからきらりは受け取らないし、受け取れない。

 そしてその事に気がついてからは、私自身、二人の関係はフラットで、もっとこう、純粋な物なんだと考えるようになっていた。

 ならばお金を使う以外の方法で、彼女の負担を減らしてあげる術はないだろうか。彼女に対するこの気持ちを伝える方法は……。
 
 時計を見ると、きらりが帰ってくるまではまだまだ時間があった。
 私はゲームのコントローラーを置いてテレビのスイッチを切ると、本棚から一冊の本を探し出し、ページをぱらぱらとめくって。
 
 それから一度台所へ行ってこれからの作業に必要なものを確かめると、急いで余所行きの恰好に着替えてからお財布片手に家を出る。

「さて、と」

 私は寒さから身を守るように首にかけていたマフラーをまき直して歩き出す。
 街道に並ぶイチョウの葉っぱが、木枯らしに吹かれて舞っていた。


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