過去ログ - 【モバマスSS】双葉杏、王さまになる
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47: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/04/16(土) 12:22:07.02 ID:naLNPDEx0
===5.「王さま、お出かけひと騒動」

「ふぃー……ホント、今日が休みで良かったよ」

 大きなため息と一緒に吐き出した私の独り言が、浴室の湯気に溶けていく。
以下略



48: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/04/16(土) 12:25:51.55 ID:naLNPDEx0
 
 浴槽の縁に体を預けて、私の体の分だけ溢れ出たお湯が排水溝へと吸い込まれていくのを、意味もなく眺めながら考える。

 そういえば、一人暮らしを始めてからは、休日と言っても家で過ごすことが多かった。
 珍しく今日は朝からお風呂にも入ったんだし……たまには、外に出てみようかなぁ。
以下略



49: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/04/16(土) 12:27:15.64 ID:naLNPDEx0

「まぁ、変じゃない……よね?」

 滅多に使わな姿見の前、珍しく余所行きの服で着飾った自分の姿を見て、自信なさげに私はつぶやく。
 
以下略



50: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/04/16(土) 12:29:57.07 ID:naLNPDEx0
===

 学校へ向かういつもの通りを抜けて、駅についたら電車に乗って。
 そうして何とはなしに決めた目的地に着くころには、私はすっかり後悔してた。
 
以下略



51: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/04/16(土) 12:32:12.05 ID:naLNPDEx0
 
「大体さぁ、杏が外で遊ぶってのが、そもそも無理があったんだよ……」
 
 そうなのだ。ここまでやって来てから気がついた、この「お出かけ大作戦」最大の問題点。
 これまでずっとインドア生活を送って来た私に、まともな外遊びのやり方なんて、分かるわけがない。
以下略



52: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/04/16(土) 12:33:48.33 ID:naLNPDEx0

 さてこうなると、自然と私の向かえる場所は限られてくるわけで。

 気がつけば私は、溢れ出る電子音と喧騒に包まれた憩いの場……
 ゲームセンターへとやって来ていたのであった。あぁ、なんて情けない。
以下略



53: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/04/16(土) 12:35:42.00 ID:naLNPDEx0
===
 
「よぉし……いい加減、決着をつけようじゃあないか」

 お金を入れられたクレーンゲームの筐体が、ピロピロと陽気な音楽を流しながら動き出した。
以下略



54: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/04/16(土) 12:37:30.17 ID:naLNPDEx0

 そいつは「ぐったり」って言葉がぴたりと似合う、なんともゆるい表情をしたぬいぐるみ。
 
 うさぎを模した全身はピンク色。お腹周りが白いポケットになっていて、
 私は丁度そのポケットと体の間にできたわずかな隙間に、狙ってアームを差し込んだんだ。
以下略



55: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/04/16(土) 12:38:51.20 ID:naLNPDEx0
 
 けど、そんなことしてたらいくらお金があっても足りないじゃない? ここで、もう一つの方法の出番ってわけ。
 
 それが、アームについてる爪の先を、景品の隙間や景品についてるタグの輪っかに差し込んで取る方法。

以下略



56: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/04/16(土) 12:41:06.53 ID:naLNPDEx0

 ……で、この時の私はどうなんだって言うと。

 もうね、ここまで来ると意地と意地とのぶつかり合い。
 取る側の私と、取られる側のヤツとのチキンレースだよ。
以下略



57: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/04/16(土) 12:44:08.37 ID:naLNPDEx0
 
「うぇへへ、かわゆいうさちゃん、ゲットだにぃ〜☆」

 さっきまで私がプレイしていた筐体の前に立つ、一人の女。
 そしてその腕に抱かれてるのは、今の今まで私を悩ましていたあのうさぎのぬいぐるみ。
以下略



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