過去ログ - 男「春から大学に通うはずがどうしてこうなったのか」
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5:名無しNIPPER[saga]
2016/04/17(日) 14:42:18.16 ID:f0XfjCRaO

「僕は春が好きで! 納豆卵かけご飯が好きで……ええあっと……!! 犬も猫も両方好きだ!!」

 口に出した瞬間、あぁ駄目だ、と後悔した。

「そう。さようなら」

 当たり前だ。

「だ、誰か……誰か助けてくれえええ!」

 パニックになりながらも、指一本すら立ち向かえない自分にほとほと愛想が尽きそうだ。

 震えて何も動けなくて、誰が居るかも知らないどこかも分からない倉庫の中で叫んで、異様にゆっくりとトリガーを絞っていく指を凝視することしか出来ない。

 人は死ぬ時、走馬灯が脳に流れると聞くが、そんなことは僕に無いようだ。

 ただひたすらに、爆発しそうな心臓の音だけが聞こえて、口が乾いて、目から汗だか涙か分からないものが大量に流れていく。

 死を覚悟した。受け入れたくはないが、もう諦めた。

 そんなときだった。

「卵かけご飯のトッピングは納豆に限るよな!」

 倉庫のスライド扉が勢いよく弾け飛んで、これから長い長い時の中を共にする相棒に出会ったのは。

 薄暗かった室内に目映い光が射し込み、金髪のポニーテールが輝いて見えて、片手に箸を持って丼の中をネチャネチャと掻き回す彼女に出会った。

 今思い出しても、あまり格好いいシーンではなかった。



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