過去ログ - 男「春から大学に通うはずがどうしてこうなったのか」
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4:名無しNIPPER[saga]
2016/04/17(日) 14:29:39.41 ID:f0XfjCRaO

 春と言えば桜、それに付属してお花見が挙がり、環境の一変や過ごしやすい季節という印象が主なところだろう。

 パッとすると会話が広がる余地もありそうだが、一体桜や花見なんかでどれだけ会話が広がるだろうか。

 私も桜好きなんだ〜。や、春物コーデが一番可愛いよね〜的な返しが相手方の精々であり、僕はそれに対して「そうなんですか」と応える以外無い。

 何故春が好きかと聞かれたら、過ごしやすいからとでも答えておけば自然に会話は終わっていく。

 これだけ聞けば僕が人間嫌いかコミュニケーション障害、またはひねくれものと誤解を受けそうだが、無理に会話をするのが嫌いなだけで、コミュニケーション自体は割りと好きな方と自負している。

「そ、そうだ! 好きな季節は?! 好きな食べ物は?! えっと……っと……あ、猫と犬どっちが好きかな!?」

 人は焦った時ほど、頭の回転が早くなって、頭の回転が早くなっているのに、口から出てくるのは常套句ばかりだ。

「興味、無い。死体と話す趣味も、無い。」

 機械的。感情の起伏が無い。目が死んでいる。

 僕が彼女に抱いた心象はそれだけだ。故に、会話が成り立たないというのも理解出来たが、何とかして時間を引き延ばそうと躍起になる。

「ま、まぁ落ち着いて! まずは自己紹介でもしよう!! だ、だから!」

 側頭部で二本に束ねられた赤い髪。低い背丈。ワインのような深く暗い赤目。

 美女かどうかと問われたら美少女と即答するような初対面の少女は、僕の額からそれを離さない。

「まずはその銃を下ろしてくれ!」

 必死の説得だ。命乞いだ。死にたくない。

 どこの学校か分からない深緑色のブレザーを羽織る少女の手には拳銃が握られている。誰か何故こんな状況なのか説明してくれ。

「貴方の命は、貴方に必要ないでしょう?」

 そう言って、少女は安全装置を引いた。駄目だ、僕は死ぬ。それだけは分かる。

 冗談じゃない。本気だ。見たこと無いけど本能的に分かる。こいつはこれまでに何人も殺しているんだろう。事務的で、冷静で、冷酷だ。









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