過去ログ - 男「春から大学に通うはずがどうしてこうなったのか」
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7:とりあえずここまでです ◆RMiPHzKZNU[sage]
2016/04/17(日) 15:14:02.80 ID:f0XfjCRaO

 食堂。

 深緑色の学生服姿の人達がそれぞれに好きなモノを食べて、好きな相手と話して、好きな様に過ごしている。

 一般的な学校の食堂とは違い、広さはテニスコート数十個分はあるんじゃないか、と思う。正直広すぎて正確には分からない。

 規格外な広さに合わせて大小様々な机や椅子が大量に備え付けられているが、そのほとんどが埋まっている。なるほど、確かにこんなに人が居るなら仕方ないよな。

「ほら食え食え、暫くはアタシの奢りって事にしてやるよ」

 底抜けの明るい声と共に、盆が二つ。小さな机に粗雑に置かれる。

「あ……その、ありがとう」

「良いってことよう! トッピングは納豆だ、好きなんだろ?」

 「大好きだ」と応えて、僕と彼女は盆に乗った丼をかき混ぜ始める。卵と納豆が、米と絡んで食欲を大いにそそる音をたてる。

「ええっと、その、金髪……さん」

「金髪で良いって言っただろ、名無し君」

 僕の命を文字通り救ってくれた納豆少女は箸先を僕に向けて咎めるように言った。

 金髪にポニーテール、口調そのままの快活で目鼻立ちの整った顔付き、僕と同い年。詰まりは一八歳とのこと。
 
「……慣れないもんだな」

「何が?」

「この、プレイヤー名ってやつ」

 「あぁね」と口にし、かき混ぜ終えた納豆卵かけご飯を口に掻き込む金髪。金髪に倣うように、僕も自分の分を掻き込んだ。美味い。とても美味い。安価且つ手間の少なさでこれに勝る料理は無いんじゃないかと思う。

 金髪はさっきのと合わせて二杯目になるはずだが、そんなこと感じさせない食べっぷりだ。

「さっきも言ったが、この世界では全員名前が無いんだよ」

 金髪がコップに注がれた水を口に含み、一呼吸。

「私達はもう、とっくに死んでるんだからな」



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