19:名無しNIPPER[sage saga]
2016/04/17(日) 22:55:46.18 ID:skFt6CMPo
ざあざあざあ。
憂は洗い終わったお皿を水切りに並べていった。小さな水切りにはすでに乾いた食器が並んでいて、そこに今洗ったばかりの食器たちがうまい具合にあいだあいだに入ってきれいに積まれいていくのは、なんだか憂にしかわからない迷路をたどっているって感じだった。白い憂の秘密のお城みたいな。
きゅっ。
蛇口を閉じて、黄色いリラックマのタオルで水滴を拭ってから憂は言った。
「わたしね、ときどき、おねーちゃんが羨ましいって思うんだ、変なふうに思わないでね、おねーちゃんが新しいことを先にやるたび、わたしもね、あと一年早く生まれてればなあって」
「わたしも一年遅く生まれてれば憂みたいに優秀になれたかもって思うときある」
「あはは。たしかにね。あとに生まれてだめだめじゃないだけよかったかも」
「あーそれってさあー……」
「あ、ちが、ちがうの。おねーちゃんがだめってことじゃなくて!」
憂はあわてて首を振って、あんまり否定するもんだからまるで本当はそう思ってるみたいに見えるということに自分で気がついて、えへへと下を向いて笑った。
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