76:名無しNIPPER[sage saga]
2016/04/17(日) 23:34:15.63 ID:skFt6CMPo
雲の切れ間から夕日が無数の光線になって、差し込んでいた。
天国の階段。
たしかそう言うんだっけ。
ケーキにナイフを立てるみたいに、オレンジ色に染まった遠い空が白色の光で切りわけられている。
そして、見た。
天使たちが飛んでいた。
最初はまるで点々と、夕焼け色のキャンパスに落ちた白い絵の具のように。それから高度が上がるにつれてもっとたくさんの白い綿毛が空を覆いはじめた。
まるでそれは群れをつくる鳥たちの集団飛行みたいだった。
夕日を反射して赤く染まり、天国の階段をどこまでものぼっていく。白い大きな翼をはためかせ直線を描いてはやいスピードで、天国のなか、翼が雲を切り裂いて、高く、見えなくなってしまう。
この高度からだとそれがよくわかる。
だけど地を這うわたしは知らなかったのだ。
町に降ってきた天使たちはいつか天国にもどらなければならず、だから降る天使と同じだけの天使が空に帰るんだってこと。
わたしは天使が”飛ぶ”ってこと、知らなかったんだ!
「ねぇ、わたしね、わたしさ、わたし、ねえ、知らなかったなあ……こんなにもたくさんの天使がね、空さぁ……飛んでるなんて、一度も考えたこともなかったんだよ」
「唯ってばかだから」
「なんで、何で、りっちゃんはわかってたのさ?」
「あたりまえだろー、だって落ちるためには飛ぶしかないんだから!」
あるいは飛ぶために。
わたしは笑った。
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