過去ログ - 八幡「別にいらねねぇよ、本物なんて」
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22:バイト中、ケータイから
2016/04/25(月) 03:59:51.55 ID:tFhznHEnO
……その夜、俺は夢を見た。妹がだらしくなくソファで寝そべり、母と父がその横でテレビを見ている。俺はただ黙って、その様子をリビングの扉の向こうから見る事しかできないでいる。
妹が俺に何かを言いながら足をバタつかせているが、それが何なのか、いくら耳を澄ませても聞こえる事はなかった。
とても長い時間、そんな風景を見ている気がしていたが、いや、凄く短い時間だったかもしれない。まぁいいか。
気がつくと、カマクラが器用にリビングの扉を開けて、珍しく俺の足元にすり寄っていた。なぜ珍しくと感じたのか、それを考えた時にこれが夢なんだと、俺は理解した。
思考した瞬間、眼前には扉ではなく見慣れた天井。いつの間に起きたんだろう。カマクラは、この部屋にはいなかった。

八幡「夢か……」

目を開けた事にすら気がつかなかった。やたらと冴えた意識は、もう俺を睡眠に誘う事は無いだろうと、直感で分かった。

八幡「……おはよう」

誰に言ったわけでもない挨拶は、虚しくこの小さな部屋に響く。
久しぶりに他人から優しくされて、俺の気が緩んでしまったのかもしれない。だから、あんな夢を見た、そんな気がするのだ。
酷く脆い自分の形と、家族の姿とを思い浮かべて、俺は少しだけ泣いた。




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