過去ログ - 八幡「別にいらねねぇよ、本物なんて」
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23:名無しNIPPER
2016/04/25(月) 04:22:53.53 ID:tFhznHEnO
学校の授業を受けるのは、一体どれくらいぶりだろう。
やたらとクラスメイトの視線が気になったが、それでも授業は新鮮で面白いものだった。
授業と授業の間、由比ヶ浜が俺の元に駆け寄って、「おっす」と挨拶を寄こしたが、それに対して何の愛想も含まれていないような返事しか俺は返す事が出来なかった。

由比ヶ浜「なんか凄く変な感じ。テスト以外でヒッキーが学校にいるのって」

どうやら彼女の中で、俺は完全にヒッキーであるらしい。

八幡「平塚先生に言われたからな」

昨日の帰り際、通学を促されたのだ。

由比ヶ浜「先生が言ったから来たの?」

八幡「いや、別に。断る理由がないってだけだ」

由比ヶ浜「ふーん」

由比ヶ浜は、どこまでも優しい女の子なのだろう。クラスの中に仲のいい生徒もいるだろうに、わざわざこんなつまらん会話に時間を割いて、あたかも俺がいる事は違和感がないかのように演出しようとしている。
けれど。

八幡「そういうの、いいから」

由比ヶ浜「へ?」

俺がいることで、他人の何かをもらってしまう事が、俺には耐えられない。

八幡「いいんだ、由比ヶ浜」

優しさを、いや、嘘を受け取るという事すら、俺にはもったいないのだ。

由比ヶ浜「……そっか。ごめんね?ヒッキー」

そう言うと、彼女は小さく笑ってから、仲間の元ではなく教室の扉から外に出て行った。
これは彼女のためなんかじゃない。俺が悲しみから逃げるための処世術だ。




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