過去ログ - サザエ「そして誰もいなくなったのね」
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77: ◆5o0gtk7tVI[saga]
2016/05/02(月) 19:23:46.07 ID:OcwQl7p80
それはタラオだった。

タラオは、遠目にチラリと見ただけで目を覆いたくなるような有様だった。

「ぁぁああぁぁあ……ダラぢゃ……ぐぐっうぐおォォォ」

サザエは目を剥いて嘔吐した。マスオは溢れ出る涙を拭いながら、タラオの身体を自分の上着で覆った。彼はこれ以上死体を晒したくないのだ。

タラオの身体には、鋭い切り傷が三本走っていた。どれもが頭から下半身まで縦につけられた傷だった。

サザエはマスオには目もくれず、彼の上着に包まれた息子に縋り付いた。

悲劇はまだ終わらない。

今度はフネが悲鳴を上げた。大きな磐に、丁度椅子にもたれかかるような格好で倒れている子供がいる。

ワカメだ!

ワカメは頭から水をかぶったみたいにずぶ濡れだった。彼女の美しい黒髪が、顔に張り付くように垂れている。フネは何度も愛娘の名を呼び、その体を揺すった。それから天を見上げて泣きじゃくった。

波平もワカメの足元に跪き、怒鳴るような声で泣いた。

四人の大人たちは、声がかれるまで叫んで泣いた。


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